心地よさそうに


 某月某日 不覚の食中たり。今朝はフラツキ感が少しましになった。何時ものように午前6時過ぎに起床。母の寝床を覗きに。母はいつもと変わらず鑽石水、心地よさそうに、眠っていた。その寝顔を見ると「よっしゃー、今日も、やろうかー」と元気が出るのだ。
「お袋ちゃ~ん、起きましょか~」声をかける。
「う~ん、もうか~」
「そうやでえ、学校(デイ施設)行かなあかんやろう、なあ」迫力のない声だ。(あ~、情けな~)。
「そうかなぁ、んん、、、いかなあかんのかぁ~」母の機嫌は悪くなさそうだ。この瞬間を、逃す手はない、私は、一気に母を抱き起こした。おトイレ、洗顔、朝食とお薬を済ませ、普段と変わらぬ日常へ母を。
「はい、学校(デイ施設)行くよう、用意しようなあ」
「は~い」と、誠に素直な、母のご返事。マンションの裏口には、既にデイの送迎バスから、職員さんが出迎えに来てくれている。
「00さ~ん、お早うございます」と、声をかけてくれる。
「は~い、おはようございますぅ」と鑽石水、母がペコリとお辞儀をしながら、答える。
「あら~っ、00さん今日はご機嫌ですね~!」と、職員さんが、ニッコリする。
「お袋ちゃん、今日も、皆んなと、仲良うしてもらいや~、僕も頑張るからね~」と私は、送迎車に乗り込んでいく、母の背中に囁くのだ。と、同時に「お袋ちゃん、ちっちゃなったな~」と思った。

ト書き:平凡な、日常に、戻ったような、錯覚に、陥り、衰弱が進む母に、私は油断してしまったのだった。
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